「複合」と「接続」がこの設計の重要な要素です。いくつかの団体で構成される施設の空間をどう表現するかが、スタートラインにあります。様々な大きさの空間は[大・中・小]にグルーピングされる。事務所エリアは、動線・管理・設備計画の効率に配慮し、まずその配置が決定されます。次に北北側の[小]、西側の[大]空間グループが配されます。土地の記憶として残された「大桜」を軸とし、メイン・アクセスが東から内部空間へと導きます。建物の大動脈となるコンコース・スペースを経て、個々の事務空間へとたどりつきます。中廊下は秩序であり、明解で安全な動線です。交差する動線や視線はこの複合施設の重要な特性とし、バラエティに富んだ空間を提供します。閉ざされた空間と解き放された空間、親密性と解放性、高と低、明と暗、公と私。そして、透化したスクリーンは多様なシナリオを可能とします。外観の凸凹な形状が生み出す光と影。異なる外壁素材と構成。これらが建物のスケール感を決定づけ、周辺住環境との調和を図るのです。素材、色彩、採光、そして外部と内部の関わり方。それらは単にデザインへの提案だけでなく、施設そのものへの表現でとなります。